当教室のホームページでアクセスが多いのが、「科学的思考」。
トップページを介さず来ているので、Google検索で見つけてきて頂いているのだと思います。興味のある方が多いんですね。
Youtube 動画というと、何となく興味をひかせて無駄な時間を費やしてしまう、というイメージもありますが、見事に科学的思考を実践されている、素晴らしい動画がありました。
科学を紹介する動画は多々ありますが、たいていは、これ、すごいでしょう、こんなことが起きるんですよ、といった、未知の現象の紹介なんですが、この動画は、科学的思考で深く探求していくところが、他と違います。
まずはこちらをご覧ください:
まず登場人物が、カッターナイフの束が、予想外の見え方をすることに気づきます。そして、それがなぜか、を自分なりに仮説を立て、自分の持つ知識で、人に説明します。なんとなく納得できるところで、この動画は終了します。
そして素晴らしいのが、次の動画です:
解説を聞いて、実際に理論的に計算してみると、ちょっとおかしいんじゃないですか?という新しい登場人物が出てきます。
そこで改めて、それを検証する実験を行い、確かに違っていたね、という結果を得ます。そこで初めの問いに戻り、その原因を改めて考え、仮説を立て直す、という流れで話が進んでいきます。
この2話のストーリー、前もってお膳立てしたものでなく、成り行きで進んだものですが、観察・仮説・検証・議論という、見事に科学的思考の実践となっているところが、特に、議論によって仮説が発展していくところが素晴らしいです。身近な出来事でも科学的思考は実践できる、という良い例ですね。
ただ観察して分かったつもりになるのではなく、これまで人類が獲得してきた知見である理論とその現象を照らし合わせ、それらが矛盾しないかをしっかり確認する。そして、矛盾していることが分かったときが、とても大事です。科学史の中でも、その矛盾から、新たな発見や理論の修正が生まれてきました。矛盾していることに「なぜ?」と思うことが、大切なんですね。
新しい発見は、目の前にもあります。
エジソンが「なぜ?」と質問攻めにして学校の先生を困らせたように、
特に子供たちにとっては、本来毎日が新しい発見であるはず。
「なぜ?」から生まれる科学的思考の力を、伸ばしてあげましょう!
自分が分からなくても、ネットで一緒に調べたり、書籍を購入/借りてきてあげる、という手もあります。ネットに載っている情報は玉石混交なので、書籍のほうがお薦めです。
Youtube で科学理論の解説をするところは増えてきていますが、この動画を見ていて、これからは自説を発表する場にもなっていくんじゃないか、と感じました。
これまで科学研究者は、学会で発表し論文の形で出版されないと、自分の仮説を世に問うことが難しかったのですが、近年は自分のホームページに論文を掲載する方も増えてきているようです。数年後には、科学研究者が世に問う手段は、学会よりもYoutube でのプレゼンテーションになっているのかもしれませんね。それに他の人がコメントをしたりしていくうちに、Zoomによるオンライン会議で各自の考えを直接議論したり、ということも普通にできるようになっています。リモート化がすすみ、学会も新しい形に変わっていきそうですね。