月別アーカイブ: 2020年1月

AIは、どう役立つ?

皆さん、こんにちは。

ディープラーニングの登場で
AIが騒がれてから8年ほどが経ち、
ブームも少し落ち着いてきたかな、という感じですね。

当教室のフェイスブックページ
でも何度かその活躍ぶりをお伝えしてきましたが、
改めて、AIがどのように役立っているのか、
について、ざっとまとめてみました。

AIについては、
以下リンクにも書かせて頂きましたので、
よろしければ合わせてご覧ください:

AIとトモダチになってみませんか?―――青色申告会会報(2019年8月)

小規模事業者だから生かせるAI―――青色申告会会報(2020年1月)

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まずAIが何に役立っているか、一言で言うと、

「人間にはとても理解できない、
 複雑に絡まったデータの
 (スパゲッティのような)
 関係性を解きほぐす」、

ということです。

「関係性」は、パターンとかモデルとか呼ばれますが、
要は、
・ある状況(入力)のときに、
・どんなことが起きる(出力)
という計算をしてくれる、ということです。

人間の脳は五感からの情報でこの処理をこなしますが、
数字などのデータの形で処理するのは、
あまり得意ではありません。
AIは電子データでそれをやります。
また「解きほぐす」にも、ざっくり2種類あって、
・分類/グループ分けをする
・数値(大小関係)で予測する
という、人間にも分かりやすい形で、結果を出します。

なので、AIからの情報は、
・自動運転のように直接コンピュータ制御につながる、
・結果を見て人間が意思決定に役立てる、
という、2通りの使い方があります。
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さて、実際の応用例ですが、
医療、ゲーム(囲碁など)といった世界は
ニュースになりやすいので、
テレビや新聞等でよく目にしますね。

ゲームが最も分かりやすく、
世界チャンピオンをAIが負かした、というように、
ある仕事を最もうまくやる方法を見出す、
という点で役立っています。

医療の場合は
画像や問診データからの(異常)検知が
主な貢献と言っていいのではないでしょうか。
(医療の世界は
 医師がデータ分析に通じていることもあり、
 最もAI導入が進みつつある業界の一つと思います)

自動運転も立派なAIの仕事ですね。
画像等の情報から瞬時に最適な行動
(ブレーキ/ハンドル操作等)を計算します。

製造業でも、製造中の異常予知、不良品判別など
問題を素早く検知、あるいは発生前に予測する、
といった形で活用が進んでいます。

これらの話題と比べると
ニュースになりにくく目立たないのが
ビジネス業務分野でAIがどう役立っているのか
というところです。
どんなところで、AIが役立っているのでしょうか。

人知れず、すごい仕事をしているのが、
Google、Amazon の自動推薦機能です。
これらのホームページに出てくる情報は、
過去にその人が見ていた無数のページに基づいて
好みそうな情報を、見やすいところに表示しています。

ウェブ視聴情報や購入(POS)データから
誰が何を好むか、という推定をするAIは
(「レコメンデーション」機能と呼ばれます)
商品/サービスを提供する大企業の多くで
・顧客が次も購入しそうか
・何を購入しそうか
・別の店/商品に奪われそうか
・どの人がいい顧客になりそうか
・どの商品が組み合わせで買われているか
などの推定に、活用されています。

分野はちょっと異なりますが、
ソーシャル・ゲーム開発の世界でも
どんなユーザーに、
どのようなゲーム展開を提供したら、
ユーザーが夢中になって
課金アイテムを買ってくれるか、
ということをAIで解析し
日夜研究、改善しています。

今AIから大きなメリットを享受しているのは
営業、販売、マーケティングの分野ですが、
「今日はどの商品がどれだけ売れそうか」
「この商品、物件はいくらで売れそうか」
という予測もAIは得意としており、
前者は小売業等で仕入れ、在庫の適正管理に、
後者は新製品/中古品の価格推定などに
役立っています。
これには回帰分析という手法が用いられます。
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このようにAIは様々な分野で活躍していますが、
活躍しにくい状況もあります。
例えばAIに与えるデータの量と質。
データの数が少なければ、
AI(機械学習)は役に立たない
と考えるのが無難です。

どんなに最新鋭の、高性能のAIとしても
与えるデータが足りなかったり
質が悪かったりすれば、
良い答えを出せません。

もし、自分のところで
取引履歴やPOSなどの
データが結構たまっていて、
「今起きている問題の原因が知りたい、
 このデータから何かヒントが
 引き出せないか?」
という状況であれば、
AI&データ分析にチャレンジする、
いい機会です。

同じAIを使っても、
学んだデータが異なれば
例え同じ条件(入力)を入れても
違う答えを出してくるのが
AIの面白いところです。
つまり、
あなたの持つデータでしか、
あなたの事業のベストな答えが
手に入らないのです。

あと、いくらデータがあると言っても、
紙や画像の形で文字・数値が残っているものは、
コンピュータが処理できる形にするまでに
かなり手間がかかります。

理想はデータベースですが、
せめてエクセルやテキスト・ファイルの形で
数値等が保存されるようにしておくことで、
後々それが業務改善&収益アップのための
宝の山となるかもしれません。

記録の書式(フォーマット)が
揃っている、というのも、
自動処理には大切な条件です。
自分で一度決めたフォーマットは
極力変えないようにする、
ということですね。
特にエクセルだと深く考えずに
データの配置を変えてしまったりしますが、
これをしてしまうと、
後で分析に余計な手間が、かかります。
こんな、ちょっとした気遣いで、
AI活用しやすいデータが生まれます。

いかがでしょうか。
「あ、これならうちの業務にも使えるかも」
と思われたら、ぜひ、
AI&データ分析にチャレンジしてみて下さい!
回帰分析による予測なら、
エクセルでも十分に使えます。

AIアプリをつくろう!

こんにちは。

『Dr.+エジソン』では、
市販教科書を教材としたAIプライベートレッスンを行っていますが、
教材を組み合わせて、「手書き数字当てWebアプリ」を作ってみました。


上の画像のような、
「0-9」の数字一つが描かれている画像ファイルを送ると、
その数字が何であるか、AIが答えてくれます。
(ファイル操作が入るので、スマホでは手間がかかると思います)

Webアプリの部分は
「実践で学ぶ機械学習活用ガイド」5章の
魚画像を判別するWebアプリの部分を利用し、
画像判別の部分は
「ゼロから作る Deep Learning」7章の
ディープラーニング(画像向けCNN)を組み込みました。
(後者はTensorflowなどのライブラリを使わずに
 ディープラーニングを実装するので、
 中の仕組みを知るのに最適な教材です!)

この類(特に前者)の書籍は「生もの」なので、
出版されてから半年~1年ぐらいでやらないと
各種ツールのバージョンが上がったりで、
画面表示が書籍の解説と違ったりして
作業者への要求レベルが跳ね上がりますが、
それさえなければ
最近の市販の教科書は丁寧に作りこまれているものが多く
指示通りやっても、まともに動かない、
というものは少ないように感じます。

でも教科書通りにこなしただけでは
表面的な知識しか身に付きにくいです。
とは言っても、いきなり1から作る
というのも敷居が高すぎるので、
こんなふうに、教材を組み合わせて
徐々にスキルアップしていく
のはいかがでしょうか。

ただ組み合わせるだけでも、
結構な技術を要します。
いかに自分が理解せずに作らされていたかが
実感できるかもしれません。
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具体的な作業&操作手順ですが、

1.
「0-9」の数字一つが描かれている画像ファイルを用意します。
「ペイント」など、作成ツールは何でもOKです。
白地に濃い目の色で、数字を描いてください。
(色は濃ければ何でもOKのはずです)
あまり細い線だと、判別が難しいかもしれません。

「ペイント」の例:

※ この例の画像サイズは縦横200ピクセルですが、
  だいたい正方形であれば、
  特にサイズの指定はありません。

※ 画像であれば、
  手書きでもフォント文字でも構いません。

※ 保存形式は、PNG か JPEG でお願いします。

※ 画像内に「数字は一つだけ」、にして下さい。

※ 本当はWebアプリ上で手書きできるといいのですが、
  「教材二つを組み合わせる」という趣旨から外れて
  敷居がかなり高くなるので、今回はこの形にしました。

2.
以下のサイトにアクセスして下さい:
https://digitclassify.herokuapp.com/
こんな画面が出てくるはずです:

3.
画面左側の「ファイルを選択」ボタンをクリックします。

4.
新しいウインドウが開くので
さきほど作成した画像を指定して
ウインドウ内の「開く」ボタンを押して決定します。
さらに画面右側の「表示」ボタンを押すと、
以下のように、
送信した数字画像が画面表示されます:

5.
画面右側に新しく出てきた「推論」ボタンを押すと、
以下のように、AIが予想した数字が表示されます:

見本の例では正解でしたが、
あなたの描いた数字画像に対しては、
AIの予想は正しかったですか?

もう一度動かしたいときは、画面右側の「トップページへ戻る」ボタンを押せば、
最初の画面に戻ります。

いろんな手書き文字を入れていくと、
なんでこんな図形でこの数字になるのかな?
と感じることもあるかと思います。

実は今回、
AIに学習させた手書き数字データは
MNISTというデータセットを使っています。
その画像を表示させてみると分かるのですが、
欧米人の数字の書き方って、
日本人のそれと、ちょっと違っています。
なので、日本人が描いた数字は
欧米人のそれよりも
間違って判別されやすいのだと思います。

実はこれ、「バイアス」と言って
AIでしばしば起こる問題なんです。
数年前、画像中のものを推定するAIアプリが、
黒人をゴリラと判別してしまった
というニュースは結構有名になりましたが、
他にも色々な状況で起きています。

※ 興味のある方は、
  「AI バイアス」で
  Google検索してみて下さい

プログラムは設計&記述ミス(バグ)があると
想定通りに動作してくれませんが、
AIの場合は、プログラム自体にバグがなくても
与えるデータの質次第で、
AIは賢くもバカにもなります。

こういった、AIの特性を理解することが、
AIを使いこなす第一歩となるのではないでしょうか。

これからの時代、誰もが
AIと付き合わずに済ますことはできません。

ぜひ、AIと格闘して、
AIを使いこなす人になってください!

謹賀新年2020

明けましておめでとうございます。

いよいよ2020年代に突入ですね。
オリンピックなどワクワクするイベントのある一方、
社会的な不透明さは、深みを増していっているように感じます。

昨年、私が一番印象に残ったことは、
グレタ・トゥーンベリさん。

スウェーデンの高校生で、
世界の子供たちに地球温暖化対策のデモを呼びかけ
大規模な活動となり、『タイム』誌による
2019年「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれました。

実は自分の娘が生まれてから、
地球温暖化等の課題を考えたときに、いつか、
「お父さんたちが汚したツケを、私たちが払わなければならない」
と言われる日が来るんじゃないか、と思い続けてきましたが、
とうとうこの日が来た、という感じです。

ただ気候変動はまだ未解明な部分も多く
(地球は非常に複雑なシステムです)
各国の政治的な駆け引きもあったりして
単純にCO2を減らせばいい、という問題でもなく、
代表挨拶にも書かせていただいたように、
AIなどの科学技術で克服していくのがベスト、
と考えています。

また日本にとって気候変動と同等、
あるいはそれ以上の課題が、「少子高齢化」です。
人口分布は戦争でもない限りほとんど未来予測できるので、
地球温暖化よりも切実に、我々の生活に影響してきます。

このような大きな課題を抱えた今、
より効率的な業務や生活様式が必要不可欠です。
その切り札がAIなどの科学技術と信じています。
つい先日も、コストが200分の1の太陽電池ができそうだ、
というニュースが流れていました。
人類の英知は、この難局を必ず乗り越えられるはずです。

このような課題を、AI等の科学技術で解決する、
それができる人材を一人でも増やすために、
『Dr.+エジソン』を立ち上げました。

これまで幼稚園年中~50歳代まで、
老若男女問わずプログラミングを、
また大人向けにはAIの基本を指導してきました。
これまで多くの方々に受講して頂き、
本当にありがたく思っています。

まだ暗中模索ですが、
今年もこの想いを実現すべく
邁進していきます。

厳しい時代ではありますが、
前向きに、進んでいきましょう!

では最後に、今年の運試しをどうぞ!