青色申告会会報(2020年8月)

前回、本会報にて、⼤企業やハイテク企業だけでなく、事業規模が⼩さくても、新しいAI(⼈⼯知能)の使い⽅を⾒つけるチャンスがある、ということをお伝えしました。今回は前回予告した、回帰分析について、お話したいと思います。

まず、この「回帰分析」って、いったい何なの? 今はやりのディープラーニングと何が違うの? というところから、お話したいと思います。

AIと⼀⾔で⾔っても、⾊々あります。また時代によって、AIと呼ばれるものも変わってきました。最新技術を指す⾔葉にありがちなことですが、新しく出てきてまだ馴染みのない技術に対してAIという⾔葉が(特に専門家以外で)使われることが多く、ディープラーニングも今後広く普及すれば、10年後にはAIと呼ばれなくなってしまっている可能性は、⼗分にあります。

さてこのAIですが、現在AIと呼ばれているものは、機械学習と呼ばれる技術が中⼼となっています。⼀⾔でいうと、⼈間のように、機械が学習する技術、ということになります。それ以前のAIとして、判断ルールを全て機械に覚え込ませれば、例えば医師のように診断のできるAIが出来るのでは、という考えがあり、多くの研究者が取り組んだ時期がありました。しかし結局、現実世界のルールは膨⼤で、それを⼈⼿で記述していくのは、現実的でない、ということが分かってきたため、この研究は下⽕となってしまいました。そのような中、覚え込ませるのが⼤変なら、機械が勝⼿に学習してくれればいいではないか、という発想が、機械学習となります。

機械学習には、⼤きく3つ、教師あり学習、教師なし学習、強化学習があります。 教師あり学習とは、⼈が事前に⽤意した「答え」付きの情報を学習させ、似たような情報が来たら、それが何なのかを答える、というものです。答えとは、「正解/間違い」だったり、「イヌ、ねこ、⼈」のようなラベルだったり、数値だったりします。数値の場合は予測、それ以外は分類と呼ばれることが多いです。 そして、教師なし学習とは、「答え」のない情報から機械が勝⼿に分類する⼿法のことを指し、強化学習とは、最終的なゴールのみが⽰され、そのゴールに近づくための1ステップ毎の正解を機械が考える⼿法ですが、今回は詳しい説明は割愛させていただきます。

今回ご紹介する「回帰分析」、これは機械学習の中で、教師あり学習の⼿法となります。その歴史はディープラーニングよりずっと古く、今でも⼯場の⽣産管理や売上予測などで活⽤されているんです。

「売り上げ予測」では、明⽇はどれぐらい売れそうかな、お客さんが来そうかな、とかを、予測したいわけですが、その原理は、ある要因(例えば気温)が変化したときの、売り上げの変化を、過去のデータから数式にするものです。数式でいうと、y=ax+b ですね。例えば観光地の売店で仕⼊のため、アイスクリームの売上を予想したいとします。考える対象が気温だけだったら、過去のデータを使って、横軸に気温、縦軸に売上のグラフを描いてみれば、予想は出来そうです。でもそれ以外に、例えば湿度も影響するとしたら、どうやって調べればいいでしょうか?

それを解決してくれるのが、回帰分析です。過去の気温、湿度とその⽇の売上のデータがあれば、エクセルを始めとする様々なツールで、その計算をしてくれ、結果として、もし明⽇の気温が25℃、湿度が80%なら、売上は670個、などと予測してくれます。考える条件が「平⽇/休⽇」のような数字でない場合でも⼤丈夫。数値化して扱える⼿法があります。 ⼿始めに、回帰分析で、ご⾃分のお店や事業の予測をしてみてはいかがでしょうか。

『Dr.+エジソン』は、プログラミングやAIツールの使い⽅など、個⼈のペースに合わせて学べるプライベートレッスンを実施中です。 ⼊会費不要 、1回でも受講できますので、全く分からないけど、まずはAIやプログラミングというものを体験してみたい、という⽅から、こんなこと教えてもらえないかな、という相談まで、お気軽にどうぞ。受講⽅法や授業料等、下記ホームページに記載していますので、⼀度覗いて頂ければ幸いです。

皆様がAIを使いこなし、幸せな21世紀を暮らしていくことを願っています。

他の記事につきましては、こちらをご覧ください → プレスリリース