青色申告会会報(2020年1月)

前回、本会報にて
・AI(人工知能)とは、どのようなものか、
・ディープラーニングは今までのAIと何が違うのか、
という話をさせて頂きました。今回は、AIって大企業やハイテク企業が使う高価な物、と思い込んでいる方に、自分たちでも安価に使えるものなんだ、いやむしろ、事業規模が小さいほど、新しいAIの使い方を見つけるチャンスがある、ということをお伝えしたいと思います。

AI はその計算のやり方(アルゴリズム)の優劣もさることながら、与えるデータの質の良し悪しも、性能に大きく影響を与えます。大抵のデータにはノイズが含まれているので、データの数が多いほど、正確な予測が可能となります。そうであれば、大規模データを持つ大企業ほど正確な分析ができるはずですよね。

しかしその一方で、会社がAIシステムを導入するとき、「費用、効果の予測が難しい」という問題があります。AIを入れることで、どのくらいの収益改善が見込めるのか、そしてさらに、それを実現するまでにどれくらいの期間とコストがかかるのか、という点で、従来のIT導入時と比べると、不確定要素が多くなります。これは、データの質とAIとの相性は実際にプログラムを動かしてみなければ分からないということ、また研究開発的な要素が多いためです。要は、試行錯誤の部分が多いんですね。

大企業がAIを導入するとき、データ規模が大きいため、通常は外注で高額プロジェクトを発注することになるわけですが、この稟議を通すプロセスで、成否の不確定性が受け入れられにくいため、大規模組織でAIシステムを実運用まで持ってくるのは、かなりハードルの高い仕事となります。またビジネス当事者でない人間がAIシステムを開発すると、データ質を深く理解していないために、本来の目的に最適でないモデルとなる可能性もあります。

一方で、規模は小さくても、社員、特に経営者が自らAIシステム開発することができれば、試行錯誤が低コストで進められます。また、データ質やデータの背景もよく分かっているため、自分の業界での、AIのオリジナルな活かし方を発見できるかもしれません。実際に、個人の農家がキュウリ選別AIシステムを作ったり、クリーニング店経営者が料金見積AIシステムを作って業務に使っている、という実話もあります。

今世界では、「市民データサイエンス」という言葉が広まりつつあります。これは、データ分析を専門家だけに任せるのではなく、市民一人ひとりが基本を理解してAIを使えるようになろう、という流れで、近年のディープラーニングを含めた「扱いやすい」データ分析ツール(その多くは無料)が発展、普及してきたことが、背景にあります。

AIと言うと、ディープラーニングばかりが話題になる昨今ですが、AI(と言われるもの)にも色々な種類があります。例えば「回帰分析」、これは工場の生産管理などで活用されることもあり、ご存じの方もいらっしゃるかと思います。これも現代のAIの主流である「機械学習」の一分野で、MicrosoftなどのクラウドAIシステムの一部としても取り込まれているんです。
今、工場の生産管理と言いましたが、実はこれ、商品の「売り上げ予測」にも使われます。明日はどれぐらい売れそうかな、お客さんが来そうかな、とかを、自分より高い的中率で予想してくれたら、嬉しいですよね。
その原理はシンプル。ある要因(例えば気温)が変化したときの、売り上げの変化を、過去のデータから数式にするだけです。数式でいうと、y=ax+b ですね。色々書きたいことはあるのですが、紙面の都合上、この先は次回、もしくはホームページで公開したいと思います。

『Dr.+エジソン』は、プログラミングやAIツールの使い方など、個人のペースに合わせて学べるプライベートレッスンを実施中です。 入会費不要 、1回でも受講できますので、全く分からないけど、まずはAIやプログラミングというものを体験してみたい、という方から、こんなこと教えてもらえないかな、という相談まで、お気軽にどうぞ。受講方法や授業料等、ホームページに記載していますので、一度覗いて頂ければ幸いです。

皆様がAIを使いこなし、幸せな21世紀を暮らしていくことを願っています。

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