「クリティカルシンキング」という言葉、
聞いたことありますか?
日本語で「批判的思考」と訳されることが多いですが、
この言葉のイメージだと、なんか
人の言うことにケチつけるのがクリティカルシンキング?
と思ってしまいそうですね。
クリティカルシンキングとは、
人の主張を鵜呑みにすることなく
議論の根拠を徹底的に考え、
その主張の正当性を考える手法、のことを言います。
『Dr.+エジソン』ではときどき
人の話を鵜呑みにしないで、という内容のブログを書いたり
実際に授業で生徒に間違った情報、方針を与え、
生徒に自力でそれに気づかせるトレーニングをしたりしますが、
このクリティカルシンキングの考え方を身につけてもらいたい
という想いがそこにはあります。
授業の中でも、生徒が作ったプログラムを見て、
「ここはなぜこのようにしたの?」
などと問い、何となくやったのではなく
根拠を持って作っているかを確認しています。
これを何度も繰り返すことで、生徒は
根拠(自分の考え)を持ってプログラムを作る
ようになっていきます。
このトレーニングをすることで、
プログラミングに限らず考えを持って行動するようになり、
その子の人生を切り開く大切な力になる
と考えています。
このようにクリティカルシンキングは
まず人の主張を聞き、
その根拠を聞きます。
さらにそこから、
その根拠は本当に事実なのか?を議論し、
確からしいのであれば、
次に、その根拠で本当にその主張が導かれるのか、
を議論します。
トヨタで有名な「なぜなぜ分析」も
トラブルがおきたら、原因追及に5回、なぜ?を繰り返せ、とのことで、
このクリティカルシンキングに近い考え方なんじゃないかな、と思います。
なぜ(Why)を繰り返せ、というのは
コンサルティング会社の新人教育でもよく使われているようですね。
文章だけ見ると面倒くさいことをやっていますが、
例えば科学的知見など、
そのように徹底的に主張を検証して確からしいということが見えてこないと
今後みんながその知見をもとに研究を進めていくことができません。
やっぱり違っていた、では、
それに続く多くの人の研究が
無駄になりかねないんですね。
学会では、新しい主張はなかなか受け入れてもらえません。
それは科学の理論が、
こうした主張の検証と積み重ねの上に成り立っているからなんですね。
学会で何年、時には何十年も叩かれ、
それでも生き残った仮説のみが、理論として認められていく、
だからこそ、科学理論は、
それを信頼して、その上に議論を積み上げていくことができるのです。
科学研究の世界では当たり前に使われているクリティカルシンキングですが、
(でもクリティカルシンキングという単語を知っている科学研究者は少ないです)
例えばビジネスの世界でも有効なんじゃないか、
ということで、MBAの科目として取り上げられたりしています。
別の言い方をすれば、科学的思考とは、その専門分野にかかわらず
クリティカルシンキングで研究を進めている、といって良いかと思います。
科学研究のベースとなっている「哲学」の、議論の進め方に近い、
のではないでしょうか。
例えて言えば、クリティカルシンキングとは
誰もが納得できる結論にたどり着くための「道しるべ」、
でしょうか。
クリティカルシンキングに興味を持たれた方は、
ぜひネット検索してみてください。
そんなに数は多くないですが、日本語の書籍も出版されています。